こんにちは。
ワールドビジネスソムリエ合同会社代表
MBAマーケティングコンサルタント
宮崎香理です。
MBAマーケティングコンサルタントの「日本の飲食店が残念すぎる理由とオリンピックを前にすぐすべきこと」「VOL.1 顧客層編 まだ間に合う!ピンチはチャンス!旅館、ホテルが生き残る方法」をお読みいただきありがとうございます。少しでもお役に立てたら幸いです。質問があればぜひお気軽にメールをお送りくださいませ。
学生時代に帝国ホテルや外資系ホテルで働いていたこともあり、私はホテル業界に今もなお大変関心があります。旅行することも好きなので、旅館・ホテルについて、一消費者としても感じることや気づくことが多いです。
「これからはインバウンド」だと意気込んでる方も、
「日本のお客様にもっと予約してほしい」とお悩みの方もまずは、ご一読ください。
関係者の皆さまのお役に立てたら幸いです。
コンセプトとターゲット設定
前回はマーケティングの権威であるジェイ・エイブラハム氏が提案する売り上げを伸ばす3要素(顧客数、購入単価、購入頻度)についてお話ししました。
また、まずは顧客について、現状を知ってくださいとお伝えしました。
今回は購入単価について考えて頂きたいと思います。
申し上げるまでもなく、価格設定は非常に大切です。
さらに、コンセプトに合った適切な設定を行うことが売上につながるポイントになります。
前回のレポートをお読みいただき、ターゲット設定が出来ている前提で本レポートを進めていきたいと思います。
購入単価の設定
ここからは実在するある旅館を例に考えていきたいと思います。私も7月に泊まったことがある汀渚 ばさら邸は
三重県志摩市賢島にある温泉旅館です。
ロビーにてチェックイン手続きを終えた後、お茶とお菓子でおもてなしを受けました。
ホームページに明確なコンセプトは記載されていませんが、このような感じでしょうか。
「静かに刻まれるゆるやかな時間と美しい自然に癒される大人のための旅館」
特徴:
・伊勢志摩の名所・英虞湾が一望できる丘に建つ
・総敷地面積4,000坪に本館15室と別邸3室
・全室露天風呂付客室
・貸切露天風呂3種類
・こだわりの食材を利用した料理
・質の高い接客
・最高品質のスパ
・ライブラリーやドリンクサービスが楽しめるラウンジ
・無料送迎
質問です。
Q1.主なターゲット層はどういう人だと思いますか?
Q2.1泊2食付きの最低料金はいくらだと思いますか?
宿泊の感想
私は7月の平日に女友達と二人で宿泊しました。
ウェルカムティーとお菓子、苦手な食材を配慮した特別料理の提供をはじめ、運転手、フロント係りや食事処でのスタッフ、貸切露天風呂のクオリティなど、サービスや環境はおおむね満足のいくものでした。
ライブラリーを兼ねたラウンジでは時間帯に応じて、お茶、アルコール、軽食などが無料で提供され、空港ラウンジやホテルのエグゼクティブフロアのラウンジを思わせるもので、一般的な旅館とは一線を画す印象がありました。

ばさら邸の貸切露天風呂のひとつ。
A1.
食事処は個室または半個室、露天風呂は室内または貸切のため、他の客と顔を合わせる機会はあまりありませんでしたが、ラウンジを使用していたのは30代~40代くらいの夫婦やカップルが多かった気がします。チェックアウト時には50代以降の夫婦やカップルも見かけました。子供は一人も見かけませんでした。
上記のことから、30代以降の高級志向を求める大人のカップルに選ばれているようです。
おそらく、彼らは高級ホテルのエグゼクティブフロアに宿泊したり、空港ラウンジを使用したり、高級レストランやホテルのカフェを好む大人である可能性が高く、ばさら邸はそういった層を今後も戦略的に取り込むとさらに予約数が伸びると予想されます。
A2.
宿泊プランはたくさんありますが、一泊二食付きのスタンダードプランの場合は最も手ごろな部屋で2名利用時の1人の値段は平日29000円(税抜き)です。最も安いプランが平日で3万円超とやや高単価に設定できるのは、コンセプトと提供するもの全てがターゲット層に受け入れられた結果であると言えます。
同じスタンダードプランで最も高い部屋は平日5万円ですが、この記事を書いている9月上旬時点で、ホームページを見る限り、年内で空いている日にちは1日だけでした。
適切な価格設定
残り4か月近くあるとはいえ、最も高い部屋が年内1室しか空いていないというのは圧倒的な強さを感じます。
なお、SPA付プランの場合、最も高い部屋は二人で20万円近い価格で販売されています。
いずれかのプランで予約が入ればこの部屋は年内はSOLD OUTということ。
「1番良い部屋に泊まりたい、でも空いていない。」
その結果、2番目に高い部屋から売れていく。
経営側としては、非常に理想的な状態です。
どうすればこういった結果が得られるのでしょうか。
コンセプトと特徴が客の期待を上回っているか
客は「払う価値があると予約した時点で納得している」という仮説が立てられます。
さらに、手ごろな部屋でも高額の部屋でも、料理、貸切風呂、ラウンジなどの施設は同じであるため、より手ごろな価格の部屋を選ぶ客にとってはばさら邸はコストパフォーマンスが高く感じたり、満足度が高くなったりする可能性があります。

ラウンジで提供されるアルコール。
実際、私もそんな客の一人です。
ターゲット層を設定し、彼らの期待を超えるサービスを提供することが与える影響がいかに大きいかがお分かりいただけると思います。
どこまでターゲット層の望みに応えられるか。応えようと日々アイデアを出すか。
ターゲット層が日常どのようなサービスに触れているか。
厳しい価格競争の中、選ばれる旅館であり続けるにはそういったことをスタッフ全員で常に考える必要があると私は考えます。
もちろん、顧客満足度調査をしたり、クレームに誠意に対応し、次に生かすことは言うまでもありません。
他にも単価を上げる方法はいくらでもあります。
今回は購入単価の一部分について触れました。
ざっくりでしたが、今回はここまで。
ピンチはチャンス×顧客分析×売上を伸ばす3要素
いかがでしたでしょうか?
コンセプトの設定、ターゲットの設定、それらに見合った提供(スタッフ、料理、環境全て)がいかに大切でこれらを見直すことで、ターゲットを魅了するということがお分かり頂けたら幸いです。
高価格帯を狙いましょうという単純な提案ではありません。
自社に合った戦略を立てることが大切なので、決して誤解なさらないでください。
ピンチはチャンスです。
考えるきっかけになれば幸いです。
ご相談はお気軽に
私は埋もれた資産を価値に変える活動をしています。
立地をはじめ、様々な要因から、個々の旅館やホテルの現状や課題は異なります。
コンセプトやターゲットの設定が難しい。こんな時はどうすればいいの?などの質問があれば、ぜひお気軽にご相談ください。
ワールドビジネスソムリエ合同会社
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MBAマーケティングコンサルタント
代表 宮崎香理
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